メニュー

おなかの症状

おなかの症状は非常に多彩です。

また、おなか以外の様々な臓器が影響しておなかの症状が出ていることもあります。

おなかの症状として代表的なものに、「腹痛」、「下痢」、「便秘」などが挙げられます。

まずはこの3つの症状について、医療機関を受診する際に参考になりそうな事をお伝えします。

 

  • 「腹痛」で気をつけること
  • 「下痢」で気をつけること
  • 「便秘」で気をつけること

 

「腹痛」で気をつけること

腹痛では、「発症様式」、「随伴症状(一緒にでた症状)」、「部位」などが大切です。

また、「腹部臓器以外で腹痛を来す疾患」、「女性特有の腹痛」にも注意が必要です。

 

危険な発症様式・症状
  • 突然、または急な発症
  • 強い腹痛
  • 歩くとひびく

 

危険な随伴症状
  • 「ふらつき」
  • 「意識の変化」
  • 「手足の冷感」
  • 「血圧の低下」

 

部位別に考えられる疾患

腹痛は部位により考えられる疾患が絞られます。

以下に部位別の代表的な疾患を挙げます。

 

心窩部痛(みぞおちの辺りの痛み)
  • 胃・十二指腸病変:潰瘍など
  • 胆管結石症
  • 上腸間膜動脈解離:
  • 急性膵炎
右上腹部痛(おなかの右上の辺りの痛み)
  • 胆嚢結石、胆嚢炎
  • 肝疾患:肝炎など
左上腹部痛(おなかの左上の辺りの痛み)
  • 急性膵炎
  • 脾臓の疾患:脾梗塞など
右下腹部痛(おなかの右下の辺りの痛み)
  • 急性虫垂炎:一般的に言う「盲腸炎です」。
  • 結腸炎
  • 憩室炎
左下腹部痛(おなかの左下辺りの痛み)
  • 結腸炎
  • 尿路結石
臍周囲痛(おへその辺りの痛み)
  • 急性胃腸炎
  • 腸閉塞
腹部全体の痛み
  • 腹膜炎
  • 炎症性腸疾患
  • 過敏性腸症候群

恥骨上~鼠径部痛(骨盤の辺りの痛みです)

  • 精巣上体炎、精巣炎
  • 神経由来の痛み

 

腹部臓器以外で腹痛を来す疾患

下記のような意外(?)な疾患で腹痛が起こることもあります。

  • 急性心筋梗塞
  • 肺炎、肺塞栓
  • 脊髄・脊椎疾患:背骨から神経を介した痛みなど。
  • 精巣疾患
  • その他

 

女性の腹痛

女性の腹部には卵巣、子宮など妊娠・出産にかかわる臓器があり、特に注意深い診察が必要とされます。

以下のような疾患・状態に注意します。

医療者に「妊娠の可能性はありますか?」と聞かれたら、100%有りえない場合以外は、「ありません」と答えないで頂けると助かります。

  • 妊娠・異所性妊娠の関連
  • 卵巣出血
  • 卵巣茎捻転
  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫 捻転・変性
  • 骨盤内炎症性疾患
  • 生理痛
  • 悪性腫瘍

 

「下痢」で気をつけること

ウィルス性胃腸炎などがよく認められますが、その他に気をつけなくてはならない点があります。

主に、「発症様式」、「随伴症状」、「食事歴」、「薬の使用の有無」などに気をつけます。

 

発症様式(急性か慢性か)

おおまかに4週間を境に、それ以前を「急性」、それ以降を「慢性」と分けます。

 

急性の下痢で考えられる疾患
  • 腸炎(細菌性・ウィルス性)
  • 虫垂炎
  • 食中毒
  • 薬剤性の下痢(新しい内服薬を開始した直後など)
  • 炎症性腸疾患の初発
  • その他
慢性の下痢で考えられる疾患
  • 炎症性腸疾患:クローン病、潰瘍性大腸炎
  • 慢性膵炎:アルコール多飲歴のある方
  • 甲状腺機能亢進症
  • 寄生虫感染
  • 大腸癌
  • 過敏性腸症候群
  • 下剤の乱用
  • HIV関連下痢症
  • その他

 

随伴症状(下痢と一緒にでた症状)

随伴症状によっても下痢の鑑別が行われます。

  • 体重減少:大腸癌などで認められます。
  • 血便:大腸癌、炎症性腸疾患などで認められます。
  • 腹痛・発熱:感染症、悪性腫瘍、炎症性腸疾患など多彩な疾患で認められます
  • 食欲亢進体重減少動悸発汗ふるえ:甲状腺機能亢進症
  • 口渇多飲多尿手足のしびれ:糖尿病性胃腸障害

上記の中で思い当たる点がある方は、一度医療機関への受診をお勧めします。

 

食事歴

以下の食事歴がある場合は食事関連の腸炎などが疑われます。

発熱を伴うこともあります。

  • 生もの
  • 肉類(半焼けのものなど)
  • 生野菜

 

薬の使用の有無

薬剤性の胃腸障害などが下痢の原因となることがあります。

 

「便秘」で気をつけること

多くは、予後良好な機能性便秘(便秘の症状のみ)ですが、時々大腸癌などの疾患が隠れていることがあるので、注意が必要です。

以下の「気をつけるべき便秘」に当てはまる点があれば、一度医療機関への受診をお勧めします。

また、「便秘で気をつける随伴症状」に当てはまる場合も、ご相談ください。

 

気をつけるべき便秘
  • 発症が急である
  • だんだん悪化する
  • 50歳以上
  • 血便、体重減少を伴う
  • 吐き気、嘔吐がある
  • 大腸癌の家族歴がある
  • 潰瘍性大腸炎の既往

 

便秘で気をつける随伴症状
  • 体重増加、皮膚乾燥、浮腫、寒がり、声がれ:甲状腺機能低下症で認めます。
  • 食欲低下、体重減少、吐き気、多尿:高カルシウム血症で認めます。
  • 体の震え、小刻み歩行(前かがみで少しずつ歩く)、表情が乏しい:パーキンソン症候群で認めます。
  • 気分の落ち込み、不眠、食欲低下:うつ病で認めます。
  • 最近の薬の変更:薬剤性の便秘が疑われます。
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME