手・足の症状
手足の症状では、内科領域では主に「手足のしびれ」、「足のむくみ」が問題となります。
それぞれについて、気をつけるべき点についてお示しします。
- 「手足のしびれ」で気をつけること
- 「足のむくみ」できをつけること
「手足のしびれ」で気をつけること
手足のしびれの原因は大きく下記のように分類されます。
当院では、しびれの「部位・分布」、「程度・持続時間」、「併存疾患」、「生活歴」、「既往歴」などをもとに原因の同定・治療方針の検討を行ってまいります。
手足のしびれの原因
- 全身の疾患・代謝異常に伴うもの
- 神経の疾患によるもの(炎症、変性疾患など)
- 脳の異常
- 神経の圧迫・障害によるもの
- 薬剤性
- その他
全身の疾患・代謝異常に伴うもの
手足のしびれは、ビタミン・ミネラルの異常、糖尿病などの代謝性疾患、膠原病、アルコール多飲などの様々な全身疾患に伴い生じます。
これらの全身疾患に伴うものは、しびれが「左右対称」であることが多いことが特徴です。
手足のしびれが認められる代表的な全身疾患は、下記のとおりです。
- 糖尿病
- アルコール多飲
- 膠原病(リウマチ、SLEなど)
- 代謝性:ビタミンB12、銅、甲状腺疾患、腎機能障害、ポルフィリン症、など
- 感染症:梅毒、HIV、ライム病など
- アミロイドーシス
- 腫瘍随伴症候群:悪性腫瘍に関連する神経症状です。
当院では詳細な病歴聴取や、検査所見をもとに鑑別を行い、治療方法を検討いたします。
神経の疾患によるもの(炎症・変性疾患など)
神経に主に影響を与える疾患に伴うものです。
代表的な疾患をお示しします。
- Guillain-Barre症候群
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- Charcot-Marie-Tooth病
- 多発性硬化症
- 脊髄空洞症
これらの疾患が疑われた際には、神経内科の専門家に紹介致します。
脳の異常
下記の疾患でしびれが認められることがあります。
- 脳出血
- 脳梗塞
- 脳腫瘍
これらの疾患は緊急的な処置が必要なことが多く、迅速に連携医療機関を受診いただきます。
神経の圧迫・障害によるもの
骨の変形や外傷などで、神経が圧迫などのダメージを受けることで起こるものです。
整形外科的な処置が適した治療となることも多く、状況に応じて他院(整形外科)への紹介も含めた治療を行います。
(代表的疾患)
- 手根管症候群
- 肘部管症候群
- 頚椎症
- 脊椎ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 総腓骨神経麻痺
薬剤性
お薬の影響でしびれが認められることがあります。
代表的な薬剤をお示しします。
- イソニアジド
- アミオダロン
- 鉛
- 水銀
- カドミニウム
- リチウム
「足のむくみ」で気をつけること
足のむくみは大きく、「全身性疾患に伴うもの」、「血管やリンパ管の流れの異常」、「局所の感染、炎症」や「薬剤性」に大別されます。
それぞれについて、気をつけるべき点をお示しいたします。
- 血管やリンパ管の流れの異常
- 全身性疾患に伴うもの
- 局所の感染、出血
- 薬剤性
当院では、詳細な病歴聴取や、検査所見などを総合的に判断して原因を同定し、治療方針の検討を行います。
血管やリンパ管の流れの異常
血流やリンパの流れが滞ることで、組織がむくむことで起こります。
代表的な疾患は下記のとおりです。
- 静脈還流不全:静脈の流れが滞ることでむくみます。
- リンパ浮腫:腫瘍や炎症などでリンパの流れが滞ることでむくみます。
- 深部静脈血栓症
- 上大静脈症候群
全身疾患、薬剤に伴うもの
全身疾患に伴い、下肢、足関節などにむくみが認められることがあります。
代表的な疾患は下記のとおりです。
- 心不全
- 腎不全
- 肝硬変
- 甲状腺機能異常(亢進症、低下症)
- 関節リウマチ
- リウマチ性多発筋痛症
- RS3PE
- 好酸球性血管浮腫
- 血管性浮腫:アレルギー反応などに伴うむくみです。
- 低アルブミン血症
- その他
局所の感染や炎症
感染、出血などで限られた部分のみのむくみが起こります。
代表的な疾患は下記のとおりです。
- 蜂窩織炎
- パルボウィルスB19感染症
- 結晶性関節炎
- 虫刺され
糖尿病患者さんは、特に蜂窩織炎などの下肢の感染症が重症化しやすいため注意しましょう。
薬剤性
むくみの原因となる代表的な薬剤をお示しします。
- カルシウム阻害剤:高血圧などに用いられます。
- ピオグリタゾン:糖尿病のお薬です。
- 非ステロイド性抗炎症薬:ロキソニンなど。
- 甘草が含まれる薬