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その他の内分泌疾患

全身の様々な臓器がホルモンを分泌している事が報告されており、全ての臓器が内分泌臓器 (ホルモンを出す臓器) と言っても過言ではありません。

そのホルモンの数だけ疾患があることになるのですが、簡単には全てを紹介出来ませんので、本ホームページで徐々に紹介させて頂くことにして、本稿では残りの代表的な内分泌疾患について簡単にご紹介致します。

 

その他の内分泌疾患

  • 間脳•下垂体疾患
  • 性腺疾患
  • 神経内分泌腫瘍
  • その他

 

間脳•下垂体疾患

間脳•下垂体は脳の中心部に位置し、ホルモンにより全身の代謝を調節しています。これらの間脳・下垂体ホルモンは生命維持に非常に重要な働きをしており、異常に伴い多彩な症状を示します。

検査のためには頭部のCTやMRI、その他詳細な検査などが必要となる事が多くなるため、当疾患を疑った際には、一度は大学病院などの高度医療機関へ紹介させて頂く事になることも多いと思われます。

当院では、当疾患の可能性を、診察や当院で可能な範囲の検査にて行い、適切な医療機関へ紹介させて頂きます。

下記の症状などに思いあたる節がある方などは、まず一度ご相談下さい。

 

間脳・下垂体疾患の代表的疾患
  • 下垂体機能低下症
  • 尿崩症
  • 先端巨大症
  • プロラクチノーマ
  • Cushing病
  • その他

 

下垂体機能低下症

下垂体からは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、抗利尿ホルモン(ADH)などのホルモンが分泌され、全身の様々な臓器の機能の調整を行っています。これらのホルモンが低下することで、低下したホルモンの影響で下記のような症状が現れます。

(括弧内は低下したホルモン)

  • 副腎皮質機能低下症(ACTH):だるい、疲れやすい、食欲がない、体重が減る、気持ち悪い、低血圧、低血糖、など
  • 甲状腺機能低下症(TSH):だるい、寒気がする、皮膚の乾燥、眠気、浮腫、毛が抜ける、便秘
  • 性腺機能低下症(LH、FSH):インポテンツ、無月経、性欲低下、2次性徴発言の遅延・欠如、倦怠感
  • 成長ホルモン分泌不全症(GH):だるさ、体脂肪率の上昇、肥満、脂肪肝、高血糖、筋力低下
  • 乳汁分泌低下(PRL)
  • 尿崩症(ADH):喉の渇き、水をたくさん飲む、尿が多い

 

尿崩症

尿崩症は下垂体から分泌される、尿の排泄を少なくする作用を持つホルモンである抗利尿ホルモン (ADH) の作用の低下により、尿の量が多くなってしまう疾患です。

<症状> 喉が渇く、尿量が増える、など

<治療> 抗利尿ホルモン製剤の内服など


先端巨大症

下垂体から分泌される成長ホルモン (GH) の分泌•作用が過剰になる疾患です。

特徴的な顔貌や症状を呈し、また心臓や呼吸などの合併症を発症しやすく、GHの過剰を改善するための適切な治療が大切になります。

<症状> 顔貌変化(眉弓部の膨隆、巨大舌、下顎前突、大きな鼻、低い声、口唇肥厚、手足の増大、暑い皮膚、高身長など)、関節炎心疾患(高血圧、心肥大など)、内分泌代謝障害(糖尿病、脂質異常症、性欲低下、無月経など)、視野障害、大腸ポリープなど

<検査> 血中GHの高値血中IGF-1の高値高血糖頭部MRI、頭部レントゲン写真、TRH試験、LH-RH試験、CRH試験、ブロモクリプチン負荷試験、オクトレオチド負荷試験、その他

<治療> 手術(下垂体腫瘍の摘出)、放射線療法、オクトレオチド製剤、ドパミン作動薬、GH受容体拮抗薬など

 

プロラクチノーマ

プロラクチン(PRL)を過剰に分泌してしまう下垂体の腫瘍のことです。性機能の異常や、腫瘍の増大に伴う視野異常などの症状を来します。

<症状>性欲低下、月経不順、無月経、不妊、乳汁漏出、女性化乳房(男性)、骨密度低下、頭痛、視野障害など

<検査>血中PRLの高値、頭部MRI、TRH負荷試験、GHRP-2負荷試験、など

<治療>ドパミン作動薬、手術(腫瘍の摘出)、放射線療法、化学療法など

 

Cushing病

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を過剰に分泌する下垂体の腫瘍が原因で、副腎からコルチゾールが過剰に分泌され、Cushing症候群を来す疾患です。

症状としてはCushing症候群に準じますが、治療としては下垂体の腫瘍に対する治療が主となります。

<症状> 満月様顔貌、肥満、腹部に赤い線状の模様ができる、筋力低下、多毛、にきびなど(詳細はCushing症候群を参照)

<検査> 頭部MRI、CRH負荷試験、DDAVP試験、尿中遊離コルチゾール増加、メチラポン試験、コルチゾール日内変動、デキサメサゾン抑制試験など

<治療> 手術(腫瘍の摘出)、ドパミン作動薬、ソマトスタチンアナログ、メチラポン、トリロスタン、など

 

その他の間脳・下垂体疾患

その他に、間脳・下垂体疾患の代表的な疾患として下記のような疾患があります。

  • TSH産生下垂体腺腫
  • 多ホルモン産生下垂体腺腫
  • 非機能性下垂体腺腫
  • 下垂体卒中
  • 頭蓋咽頭腫・ラトケ嚢胞
  • 下垂体炎
  • その他

 

性腺疾患

男性ホルモン女性ホルモンなどの異常をきたす疾患です。それぞれの疾患は最近では、産婦人科や泌尿器科などで検査・治療が行われることが多いと思われますが、本稿では概要について記載いたします。

症状などから思い当たる節がある方は、一度当院にご相談いただければ適切な対応などについて助言させていただきます。

 

代表的な性腺疾患
  • 更年期障害
  • 加齢男性性腺機能低下(LOH:late-onset hypogonadism)症候群
  • 多嚢胞性卵巣症候群(Polycustic ovary syndrome: PCOS)
  • その他

 

更年期障害

閉経前後の女性に、女性ホルモンの低下に伴い現れる、ほてり、冷え、めまい、頭痛、動悸、息切れ、イライラ、不安など、様々な症状のことを更年期障害といいます。

女性ホルモンであるエストロゲンおよびプロゲステロンの補充療法などの有効性が報告されておりますが、静脈血栓症や心臓病、子宮内膜癌や乳がんとの関連が報告されており、慎重な適応や経過観察が必要です。

 

加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群

男性の加齢に伴うテストステロンの低下により引き起こされる症状です。倦怠感や、やる気の消失、筋力低下、メタボリック症候群などの症状を呈します。男性ホルモン補充療法の有効性が報告されておりますが、前立腺癌や多血症が起こりやすくなるとの報告もあり、慎重な適応の検討と、経過観察が必要です。

 

多嚢胞性卵巣症候群

女性に認められる疾患です。卵巣に多数の嚢胞が認められ、そのほか月経異常や肥満、不妊、多毛などの症状を呈します。男性ホルモンの異常と考えられており、血中男性ホルモンの高値、LHやFSHなどのホルモンの異常などが認められます。その他、糖尿病を伴うこともあります。

ホルモン療法が行われますが、妊娠希望の有無などにより治療方針が異なり、主に産婦人科での治療が行われます。

 

その他

Klinefelter症候群、Turner症候群などの遺伝子異常に基づく性ホルモンの異常から起こる疾患もございます。

 

神経内分泌腫瘍

様々なホルモンを分泌する、神経内分泌細胞という細胞由来の腫瘍です。分泌されるホルモンに応じて多彩な症状を呈します。

病状に応じて、手術 (腫瘍の摘出) や化学療法が行われます。

代表的な疾患として、下記の様な疾患が知られています。

 

代表的な神経内分泌腫瘍

 

ガストリノーマ

ガストリンを過剰に分泌する腫瘍です。胃酸の分泌が亢進することなどから、胃潰瘍や下痢、脂肪便などが認められます。十二指腸や膵臓に多く発生します。

 

インスリノーマ

インスリンを過剰に分泌する、膵臓のベータ細胞由来の腫瘍です。

低血糖症状が頻発する、などの症状が認められます。

 

その他

その他にもさまざまな内分泌疾患が報告されています。

何か気になる症状がある方は、まずは当院にご相談ください。

対処方法について、ご相談にのらせて頂きます。

 

 

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